何故か分からないけど、何となく食満伊小説作り出したら止まらなくなった。
食満←←伊に見えて実は食満→→→伊みたいなのが好き(何)
PBBSに小話つけるだけのつもりがサイズが「小」にならず、
でも中途半端にのっけちゃったから放置もなーと思って。
こっちにしまうことにしました。
珍しいな、小説作り楽しいなんて。
興味なかったらスループリーズ!!
あっはっは読み返したらおかしいところしかない\(^▽^)/
自己満足万歳!
「・・・・・・・久しぶり」
にこ、と目の前のそいつは微笑んだ。
ずいぶんと穏やかな―穏やかすぎる笑みで。
あまりに凪いだ笑みだったから、無表情に近い気もした。
昔のそいつは、なかなか喜怒哀楽豊かだった気がするが、それらをどこかへ置いてきてしまったような。
ましてや、『この状況』で笑う、など。
「い・・・・さく」
声が途切れる。
「卒業して10年くらいかな?ははは、歳くったよね~、お互い」
軽口を叩くがその瞳の静かさは変わらない。
目の前に突きつけられた刀など見えないように。
「っ・・・・・・・・」
叫ぼうとした、ふざけるな、と。
しかし声は喉で引っかかったように出てこない。
「どうしたの?留さん」
「・・・・・・・・・お前、この状況分かってんのか」
搾り出すようにして、ようやくそれだけを言った。
「ん?今まさに殺されかかってる、てところかな」
そんな俺を気にせず伊作は飄々と言う。
「いやあ今をときめくフリーの忍者、食満留三郎殿に命を狙われるとは、僕も有名になったもんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「この前治療した人、やっぱり忍者だったのかぁ。そんな気はしたんだ」
「だったら、何で」
「さあ、何でかなあ」
「何でって、お前・・・!」
「だってさ、そいつ言うんだよ。『今ある城に追われてるんだ、助けてくれ』って怯えながら。思わず助けちゃった」
ふざけた口調が突然真剣になる。
「何でかな、その城がどこか分かっちゃったから。ああ、留さんが今居るところだ」
どこまでも静かに、続ける。
「じゃあコイツ助けたら会えるかもしれない、会いたいなあって」
「・・・・・・・・っ!」
ふざけるな、と今度こそ叫ぼうと思った。
『会える』じゃない、俺が差し向けられるのを知って、それでその野郎助けたっていうのか?!
そう言ってやろうとした、なのに声は詰まるばかりで。
声の代わりに―頬に冷たい感触がすべる。
「・・・・・・・・・・・・・とめ、さぶろう?」
今まで凪いでいた瞳が揺れた。
静かすぎる声に感情が見えた。
伊作の表情が一瞬歪む。今にも泣き出しそうに。
「忍者が・・・・・感情見せたら、駄目じゃないか」
「何のことだよ」
「・・・・・・・・・何でもないよ」
気付かないふりをした俺を見て、今度は満足そう笑う。
「ありがとう。ごめんね、僕のわがままに付き合わせたね」
「何故謝る」
「・・・・・・本当は、酷く後悔したんだ。優しい君は、こうなったらきっと傷つくと知っていた。それでも会いたいなぁって思ってしまった。だから、ごめんね」
「・・・・・・・・・・馬鹿だな」
「うん、馬鹿だ。だから、もう、いいんだ」
「何が」
「さようなら、留」
にこりと、笑う。先刻と違うその柔らかで優しい笑顔は、昔を思わせた。
「?――っ!」
ぐらりと、伊作の体が傾ぐ。
「・・・・・いさっ・・・・?!・・・馬鹿野郎!!」
まさか、そう思った時は遅かった。
持っていた刀を放り出し、駆け寄ったが伊作の顔色はすでにほとんど土気色だ。
「っ・・・・・・・・・お前・・・・・・・・・・・!!」
「君に、ころされるのも、わるくないなんて、思った、けど」
「喋るなっ・・・!くそ・・・・・・!!」
伊作を横たえ、辺りの薬棚を荒らす。何か、解毒薬は。
「それで、もし、きみが・・・くるし、の、は・・・・・やだった、けど」
段々話す声が切れ切れになる。
「おい!何を飲んだ!!」
「・・・・・これ、いじょ・・・あえな・・・・・がまんも・・いやだった・・・・」
殺そうとした相手を必死に助けようとしている自分に何の疑問も感じなかった。
どんどんと小さくなる声に背筋が凍る。
「・・・・・・・から、これしか、選べなかったんだ。ごめんね」
急にはっきりした声にはっとした。
まるで、まるで最後の力を振り絞ったような。
「・・・・・・・・・・・・冗談じゃねえぞ・・・」
言いたいことだけ言って。勝手に、逝くなど。
最期の言葉が「ごめん」など。
「許さねえ・・・・・・・・・!!」
急に怒りが湧く。本当に冗談じゃない。
俺が、どんな思いで、ここに来たと思っている。
「誰が・・・・・死なせてやるか・・・・・・・・・・!!!!」
その後はただただ無我夢中だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あんなに勝手をしたんだ。目が覚めたら、きっと、地獄かな、なんて思っていた。
なのにまず目に映ったのは見慣れた天井。
首をめぐらすと、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」
息が止まる。心臓まで止まるかと思った。
都合のいい夢かと思った。
だけど、
「と・・・・・・め・・・・・・・さぶろ・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっと起きたか。寝坊癖は変わらんな」
昔と同じ。呆れた声。
声を聞いて、本物だと知る。
辺りは様々な薬草が散乱していて酷い有様。
「まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・」
助けた?
「人の話はちゃんと聞けって、昔っから何度怒ったと思う。いい加減学べ」
「何で」
ようやくそれだけが口からこぼれた。
「言いたいことがあった」
「いいたい、こと?」
「俺は、お前を殺すつもりでここに来た」
「・・・・・・・・・・・うん」
分かってても本人から聞くとツライものがあるなあとぼんやり思う。
「けど、お前見たら・・・・・・・そんな気が失せて」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「気付いたらお前の前に立ってた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
そうだ。留は目の前に現れた。忍者なのに。暗殺者と標的なのに。
何で気付かなかったんだろう。
「俺はお前に会いたくて仕方なかったんだ。誤魔化すのも限界だった」
そう言って照れくさそうに笑ってわしわしと僕の頭をなでる。
昔みたいに。
ぼろぼろと目から雫がこぼれた。何もかも限界だ。
「・・・・・・・・・・・はは、そうやって感情豊かな方が、お前らしい」
「うるさいな、どうせいつまでも子どもだよ、僕は」
むくれてみせると、さらに楽しげに留は笑った。
「ははは、そうだな、昔っから我が強いもんな、お前」
「わがままって言いたいんだろ・・・・・!」
「怒るな怒るな」
そんな昔みたいな軽口の叩きあいが泣くほど嬉しくて、わざと怒ったフリをした。
もう一度「お迎え」がきても、僕はきっと全力で逃げるだろう。必死で生きるだろう。
だって僕はわがままだから。もうこの幸せを手放せない。
これからのことなんて考えるだけでも面倒くさい。
でもこいつの元気そうな顔を見ると、何だかもう全部が大丈夫な気がしてしまうのだ。
だから俺は、自分に嘘をつくのはもうやめた。
だってこいつがこれだけ勝手なんだ。俺だって、勝手にしていいだろう?
お粗末さまでした。
なっがーーーーーーーーーーーー!!!!
さいごあまーーーーーーーーーー!!!!!!!!
HAPPYENDやベタ好きなのでこうなったが
書いてて恥ずか死ぬかと思った。PR